サンライズ
雨音を聞きながらsuchmosのMINTを聴く
十代の頃に聞いた曲を聞くことが多くなった
見たくないものを見ないようにするために、情報を絶った
愛していた人も、友人も、親族ですら私の行方はわからないのだろう
夏の早朝の気だるさが好きだった
朝四時に目覚めてパジャマのままでサンダルを履いた
潮風はいつしか私の機嫌を取るようになった
瓶を開けて炭酸の抜ける音がする、コーラはペプシでないといけなかった
朝はトーストを焼いて昼は麺を食べた
夜は決まっていなかったが大抵は同じ食事を繰り返した
気がつくとくびれていたお腹は指でつまめるようになり、四つん這いだった娘は
恋人とデートに出かける
彼に会う前に丁寧に梳かれた髪を見ると私まで笑みが溢れた
夏の早朝の気だるさが好きだ
まだ夫にも、娘にもしてやらないといけないことがたくさんある
空になった瓶には砂が溜まる
かつて愛していた人はもういない
恐らくもう、海の底にもいないのだろう